電池パックの熱連鎖警報

酸素+可燃性物質+熱源⇒火という発火フォミュラーが存在しますが、電池パックはそのすべての要素を備えています。リチウムイオン電池の電解液は燃えやすい有機物に構成されていますし、セパレータが破れて正極と負極がコンタクトすると、膨大なエネルギーが熱に変換します。全固体電池では根本的にこの弱点を改善しようとしているが、現在世の中のEVに使われているLFP,NCA,NMCなどの電池セルではこのような電解液を入れ込んでいます、短絡や過放電や過充電などで、電池パックの中に1個のセルが火が付き、隣のセルに広げて、熱連鎖(※熱暴走)が起きてしまうと、猛烈な炎ができるに決まっています。

本文ではEVの発火リスクに対して、乗客の安全を守るために作ったEVS-GTRの熱連鎖警報要件および関連課題をご紹介したいと思っております。

EVSは”Electric Vehicle Safety”の略語で、すなわち電気自動車安全という意味です。GTRは”Global Technical Regulation”の略語で、日本、欧州、米国を中心に策定している自動車に関する世界統一的な技術基準です。それで、EVS-GTRとは、電気自動車安全に関する世界統一技術基準ということです。各国はEVS-GTRに参照して、独自の自動車法規、技術基準に入れて、強制力のあるものにしています。

実はEVS-GTRの歴史はとても浅くて、2016年ごろから議論が始まっていたところです。EVS-GTRは安全に関していろんな要件を上げましたが、その中に熱連鎖警報要件が含まれています。EV大国の中国はすでに去年リリースされた電気自動車安全に関する国家規格(GB)にこの熱連鎖警報の要件を織り込んでいました。世界中おそらく最速でEVS-GTRを適用開始しています、2020年7月から新型車は適用開始、市場継続車も2021年7月に適用開始となります。日本国内では、ECE R100の国連協定規則を採用しているため、近い未来に新しいバージョンにEVS-GTRの要件を取り入れると想定しております。

熱連鎖警報要件とは、電気自動車は熱連鎖が発生して、乗客室が危険な状態に陥る5分前に警報を乗客に出さないといけないこと、およびREESSまたは車両自体は乗客を保護する機能を持つことを要求しています。ガソリン車ではこのような要件が今までなかったですので、ガソリン車の開発に慣れてきているエンジニアにとっては、この要件を満たすためにはチャンレンジになります。

まず、熱連鎖が発生するかどうかを検知する機能が必要です。熱連鎖はいろんなことによって発生しうる、例えば、あるセルが内部短絡して、短時間に大きなエネルギーを放出してそのセルがすぐに高温のガスを噴出して、周囲のセルを引火させたことが考えられますし、バッテリパックの近傍に高温熱源から受熱し、パック全体が高温になりまして、一気に火がついたことも考えられます、他にはハーネスやバスバーの被膜などが大電流が流れたときに燃えて、電池セル本体を温めて熱暴走させて、熱連鎖を起こしたこともあります。熱連鎖のパータンはいろいろがあります。同じ手段でどんなシーンでも正しく熱連鎖を検知できることが簡単なことではありません。それに、熱連鎖は破壊的な現象なので、火に壊されないように、検知システムのロバスト性と信頼性に高い要求があります。

次は、熱連鎖が発生したことが検知できても、その瞬間から乗客室に危険(煙、火、電気ショック、高温など)をもたらすまで5分を延期させてないといけないです。要すると、乗客に逃げるためを時間の作らないといけないです。なんの対策も取らない場合は、電池パックの中のあるセルがダメになったら、ほんの一瞬でパック全体が燃え始めることがあります。そのために、熱連鎖阻止対策の検討および熱連鎖評価を電池パックの開発に織り込まないといけないと思っております。

三つ目は、熱連鎖の実機評価では大きい課題が存在しています。評価条件はどうするかという問題です。できたパックを無理やり過充電または過放電とも限界があり、あるパックが熱連鎖が発生するかもしれないし、あるパックは発生しないかもしれないです。発生したパックでも、あるものはセルNO.12が最初に火が付いた、あるものではNO.53が最初に火が付いたかもしれないです。だいたい設計者の意の通りに熱連鎖試験できないので、市場に投入した車両に自分のパックを搭載した後はほんとに大丈夫なのか評価・検証することがなかなかできないです。あとは、熱連鎖が仮に発生したら、どうすればよいかの検討には、熱連鎖試験ではなかなか有意義なデータを見せることができません。なぜなら、熱連鎖中はパックの中をのぞむことができないし、燃えた後に黒いガレキしか残らないことです。

弊社では、TAIThermをベースに上記熱連鎖阻止対策および評価に解析ソリューションを開発しておりました。TAIThermを用いては、設計者がセル間のセパレータ、配置の仕方、モジュール間距離などの設計要素についてバーチャル空間で設計サイクルを回すことができます。最も重要なのは、実機評価ではなかなかできない、またはセルを改造して工夫しないといけないに対して、TAIThermでは設計者の意のままにあるセルから熱連鎖させることが簡単に設定できます、それで市場で起きえる複数のパータンをシミュレーションし、熱連鎖のミチゲーション効果をちゃんと検証できます。シミュレーションということで、熱連鎖の過程を細かく確認できるため、熱連鎖の対策検討に役に立てます。

簡単な紹介内容ですが、今回の内容は以上とさせていただきます。

コロナ第四波はなかなか収束しないですね、最近子供の幼稚園でもPCR陽性者ができています、コロナと持続的に戦わないといけないと考え始めました。皆様はご家族を含めてぐれぐれもお気を付けてください。

電池熱連鎖シミュレーションについて、弊社までお気軽にお問い合わせください。弊社はオンラインでのソフトウェア導入、技術サポート、コンサルティングなどを承っています。ご連絡をお待ちしています。

EThermo株式会社

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